光を背負う、僕ら。―第1楽章―
あたしはただ、手に持った申込書を見つめていた。




東條学園。



先生の言う通り、自分の目で見て来るのはいいと思うし、損なことではないと思う。



それに東條学園からは、たくさんのピアニストが出ている。



小春ちゃんのお母さんはもちろん、他にもたくさんの有名なピアニストが。




……だったら、あたしは――…。




「あたし、行ってみたいです。体験入学に。」




その声に、その場にいた全員が一斉に反応する。



みんなが注目した先にいたのは、堂々とした表情をしている小春ちゃんだった。




「小春ちゃん、行くのね?」



「はい。」



「じゃあさっき渡した申込書に必要事項と保護者の印を記入して、明日持ってきてくれる?」



「わかりました。明日持ってきます。」




小春ちゃんと先生の会話は、スラスラと進んでいった。



その会話をきっかけに、みんなの心の興味心をくすぐる。




「小春が行くんだったら、あたしも行ってみようかなっ。」



「あっ、あたしも!」




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