光を背負う、僕ら。―第1楽章―
みんなは小春ちゃんにつられるように、次々にそう言った。




「あらあらみんな、急に行く気になっちゃって。それはそれで先生は、嬉しいんだけどね。」




先生は本当に嬉しそうに、そう言っていた。




「ねぇねぇ、佐奈はどうする?」



「…えっ。」



「東條学園の体験入学、佐奈は行く?」




明日美の言葉に、すぐには答えることが出来なかった。




あたしは――行きたい。



有名な音楽家達が育ってきた学校。



そこで、音楽界の実力を見てみたい。



そして出来るものならば体験入学だけじゃなくて、東條学園で勉強してみたい。



音楽のことも、ピアノのことも――。




この時、あたしの中には確かに芽生えていた。



誰かに決められたものじゃない、自分で決めた自分の意志が……。




…だけど、なぜかその決意を言えない自分がいた。



やっぱりそれは、お母さんのことがあったからだった。



お母さんはきっと、こんなこと反対するに決まっている。



ピアノを弾くことを反対しているんだから、きっと…。




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