光を背負う、僕ら。―第１楽章―

「佐奈…どうしたの？さっきから話しかけても、ぼーっとしてるよ？」




明日美にそう言われて、我に帰った。



気が付くと、明日美が不安げな表情であたしの顔を覗き込んでいる。




やばいやばい。


また一人で考え込んじゃったよ…。




あたしは流歌の時同様に作り笑いをして言う。




「あっ、ごめん。暑くてぼーっとしてた。」



「そうなの？大丈夫？」



「うん、大丈夫。」



「本当に大丈夫？さっきも同じようなことあったでしょう？」




明日美の次は、二人の会話を聞いていた流歌があたしの顔を覗き込む。




困ったな…。


流歌に同じこと言っても通用しないかも。




そう思うものの他に上手く誤魔化せるような言葉は見つからなくて、仕方なく同じ言葉を繰り返した。




「本当に大丈夫だって！ほんのちょっとぼけっとしてただけだし。」




腕を動かしたりして、二人にあたしが元気であることをアピールする。