光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「あたし…行こっかな。音楽のことはよくわからないけど、いろいろ勉強になるかもしれないし。」



「そう。じゃあ明日美ちゃんも、明日申込書持ってきてね。」



「はい!」




明日美は、行くんだ…。




そう思っていると次は、明日美に続くように流歌が口を開いた。




「あたしも、行こっかな。音楽学校って、興味あるし。」



「興味あるなら、きっとためになると思うわよ。流歌ちゃんも同じように、申込書持ってきてね。」



「はい。」




流歌も行くんだ…。




そうのんきなことを考えているあたし。



だけどよくよく考えてみると、行くかどうかの返事をしていないのはあたしだけで、なおかつあたし以外のみんなは行くと答えている状況だった。




「佐奈ちゃんは、どうする?」




流歌と会話をしていた鈴木先生は、いつしかあたしの方を見ていた。



みんなもいつしか、あたしに注目している。




「あたしは…。」




返事をしないと、と思って口を開いたものの、それ以上の言葉が出てこない。




< 242 / 546 >

この作品をシェア

pagetop