光を背負う、僕ら。―第1楽章―
みんなも先生の話を納得しているみたいだった。




やっぱり小春ちゃんは、すごいんだね。



先生に才能を認められて、こんなことまで言われちゃうんだもん。



それに比べてあたしは、何が理由で東條学園を勧められてるんだろう。




理由になりそうなことを思い浮かべてみるけれど、これといってピンとくるものはない。



じゃあ、何が理由なの…?





「佐奈ちゃん。」




頭を必死に動かして理由を考えるあたしを、先生は真直ぐ見た。



その瞳は真剣で、先生があたしに勧めたのもちゃんと理由があるんだと感じた。




「佐奈ちゃんに東條学園を勧めた理由、わかる?」



「えっ?」




突然の質問。


先生に聞かれて再度理由を考えてみるけれど、やっぱりわからないものはわからない。



あたしは首を横に振った。




「佐奈ちゃんは気付いてないかもしれないけど、佐奈ちゃんはピアノの才能があると思うの。」



「あたしに…ですか?」



「そうよ。」




先生はそう言うけれど、あたしはそう思わなかった。




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