光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「それじゃあみんな、長々と話しちゃったからこれで終わります。申込書はまた、明日以降持って来て下さい。」



「はい。」




集まっていたあたし達全員は、先生の言葉を最後にそれぞれ解散する。



あたしはみんなが解散していく中、その場を動かずに再びパンフレットに目を通していた。




「佐奈、すごいね!」



「えっ?」




誰かに声をかけられたと思ってパンフレットから目を上げると、流歌があたしの前に立っていた。




「佐奈、すごいよ。先生にあんなに必死に勧められちゃうなんて。」



「あ…うん。」



「あれっ?嬉しくないの?東條学園を勧められるの。」



「そういうわけじゃないけど…。」




あたしの言葉に、流歌は頭上にはてなマークを浮かべている。




「別にね、嬉しくないわけじゃないよ。ただ、どうしようか悩んでるだけ。進路としては、どうかなって…。」



「そうなんだ…。そういえば佐奈は、どこの高校を志望してるんだっけ?」



「…一応、爽守高校。」




“一応”とつけたのは、無意識だった。



だけどすでに、あたしの中では揺らいでいた。



本当に志望校は、爽守高校でいいのかって…。




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