光を背負う、僕ら。―第1楽章―
よく考えれば、そうなのかもしれない。



受験生だもん。


みんな悩むのは、当たり前かもしれない。




みんな悩んで、戸惑って、そして進む。



それが今の、あたし達だから――。





「流歌ならどの高校に行っても大丈夫だよ。早く進路、決まるといいね。」



「ありがとう。佐奈も早く、決まるといいね。あたしは佐奈は、ピアノの道に進むの向いてると思うけどね。」



「…ありがとう。」




流歌の言葉が胸に引っ掛かった。



おかげで多分、苦笑いしてた。




流歌は「鞄取ってくる」と言って、鞄を取りに行ってしまった。



あたしも自分の鞄の元へ歩きながら、再びパンフレットに目を通す。




東條学園…か。



興味はすごく、あるんだけどな…。




パラパラとページをめくり、中を見ていく。



学園内の写真。



学園のカリキュラム。



授業や部活の風景の写真。



先生、在校生、卒業生からのメッセージ。




たくさんのことが載っているパンフレットを、あたしはじっくりと見ていった。



見ていく度に、あたしの気持ちは膨らんでいく。




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