光を背負う、僕ら。―第１楽章―
考えれば考えるほど、わいてくるのは疑問ばかり。



その疑問がいくつか集まって頭の中を満たした時、自然と体が動いていていた。



動揺して震える手でパンフレットを握り締めたまま、空いている片手で鞄を掴む。



そしてそのまま、あたしは駆け出した。




「佐奈！？」




名前を呼ぶ明日美の声が背後で聞こえていた。



あたしは音楽室を出る時「昇降口で待ってて！」とだけ言葉を残し、振り返らずに走り出した。




目指すのは、職員室。



鈴木先生なら、知っているかもしれない。



お母さんのこといろいろ知っていたから、きっと。



早く…。


早くこの事実を確かめたい。



その思いで、必死に走った。






「…っはぁ、はぁ、失礼します！」




勢いよく職員室を開けると、中にいた先生達全員が一斉に振り向く。



それもそのはず。


いきなり息をはずませた生徒が、勢いよく職員室に入ってきたのだから。



入口で数回深呼吸をして、呼吸を整える。



それからゆっくりと、目的である鈴木先生の元へと歩いた。




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