光を背負う、僕ら。―第1楽章―
だけど人生とは残酷なもので。



信じてきたものは、いとも簡単に裏切られてしまうのだった。




「そうよ。さっき先生、言い忘れてたのね。笹川さんも東條学園の卒業生よ。…それが、どうかしたの?」




先生の笑顔が、なんだか遠くに見えた気がする。



変わりにすぐそばで、何かが崩れ去るような雑音が聞こえた。



…きっと、あたしの心が崩れた音。






「…いえ、ちょっと気になって聞いてみただけです。ありがとうございます。用件はそれだけなので、帰ります。」



「そう…。まだ陽は出てるけど、気をつけて帰ってね。」



「はい。さようなら。」




丁寧に会話をしているつもりだけど、内心は気が気じゃなかった。



心臓はまるで走った後のようにバクバクと鳴り響いているし、ショックで足は震えていた。



その足であたしは、職員室を出る。




「失礼しました。」




職員室から廊下に出ると、体は蒸し暑い空気に包まれた。



気が気でない今、それが余計に気分を悪くする。




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