光を背負う、僕ら。―第1楽章―
…確かめなくちゃ、本人に。




やっとのことで芽生えた思いは、それだった。



どうしてお母さんは、嘘をついたのか。



それは絶対確かめなくちゃいけない……そう思った。



むしろその反面、行き場を見つけられない思いもたくさんあった。




嘘をつかれたことに対する、疑問。


信じていた人に裏切られた、悲しみ。


騙されていた、怒り。




どれもぶつける行き場などなくて、ひたすらあたしの中で葛藤を続ける。




いっそすべて、お母さんにぶつけてしまえれば楽だった。




――どうして、嘘ついてたの?



――あたしを、騙してたの?



――なんで、隠してたの?




全部、全部、問い質すことができたなら、それほど楽なことはなかったのに。



だけど、それは出来ない。




まだ、かすかな希望をこの手に掴んでみたいの。



信じることを、恐れたくない。



ちゃんと理由があるならば、あたしは聞きたい。



嘘をついてまで隠した、事実の裏に隠れる秘密を……。




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