光を背負う、僕ら。―第1楽章―

知らされる真実

それからどうやって帰ったのかは、あまり覚えていない。



昇降口に待たせていた二人を、いつものように軽く誤魔化していたところまではまだ覚えている。



それからだ。


覚えていないのは。




多分、いつもみたいに何気ない会話で盛り上がりながら、夕暮れでオレンジ色に染まる道を並んで帰っただろう。



だけどその途中、あたしの頭の中に浮かぶのはお母さんのことばかりだった。




帰ったら、どうやって話を切り出そうか。



そんなことばかり考えているうちに、気付けば明日美と流歌と別れる十字路に辿り着く。




「じゃあね、佐奈。バイバイ。」



「あっ、うん…。バイバイ。」




ぎこちない笑顔で手を振り、あたしとは反対方向に歩いて行く二人の背中を見送った。



でもやっぱりその際も、頭の中に浮かぶのはお母さんのことばかりで…。




帰路を歩く途中、ついにあたしは走り出した。



理由を知るのは怖いはずなのに。



それでも足は一刻も早くとせかすように動いた。




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