光を背負う、僕ら。―第1楽章―
繋がりを求めて響く音楽
頭の中では、記憶と現実が交錯する。
そんな状態で歩いていると、いつの間にか職員室の前に立っていた。
…そうだ。
さっさと鍵を返して、プリントを国語の先生に提出して、あたしも早く部活に行かないと。
そう思い、職員室のドアを開けた。
「失礼しまーす」
そう言いながら入ると、中にいた先生の一部がチラッとあたしの方を向く。
だけどすぐに、何事もなかったかのように自分の仕事に戻っていった。
開けたドアの前には、三年生の先生達の机がある。
ドアを開けた時、三年生の先生の机の中で一番奥に位置する机の席に座っている先生と目が合った。
その先生こそが、あたしが今用事がある先生でもあり、国語の先生でもある矢田先生だ。
眼鏡をかけていて、白髪混じりの髪の毛をいつも綺麗に整えている。
小太りだけど雰囲気のいい男の先生で、今年で50才になるらしい。