光を背負う、僕ら。―第1楽章―
校長先生はよく、こうやって運動場で部活をしている人達を眺めている。
運動場だけじゃない。
体育館の部活や、文化部もそう。
よく部活を覗いては、声をかけたりしていた。
学校内を歩いてみたり、花壇の花の世話をしたり、外の掃除をしたりする校長先生。
その姿からはいつも、この学校が好きなんだということがすごく伝わってくる。
そんな校長先生をあたしは、いい校長先生だなって思ったりもする。
運動場を眺める校長先生の背中をもう一度見た後、近くにあった階段の一段目に足をかけた。
また3階まで上がるの、面倒だなぁ……。
そう思いながらも、一段一段足をかけて上っていった。
今向かっているのは、さっきまでいた3階。
だけど、教室に向かっているわけではない。
向かっているのは、音楽室。
あたしは吹奏楽部なのだ。
さっき吹奏楽部の演奏が聞こえてきた時に『部活に行かなくちゃ』って思ったのは、そのためでもあったりする。