光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「私も最初だって、こんなこと思ってなかった。むしろ、佐奈にもピアノを弾き続けて欲しいと思ったぐらいよ。私はピアニストと言う仕事がどれだけ素敵なことかも、ちゃんとわかってたから。」
「だったら…どうして…。」
「でもね、素敵なことばかりじゃないってことも知った。苦労することも、辛いことがあることも。そして、ピアニストには必ず“終わり”が来ることも。」
「“終わり”…?」
「そうよ。」
お母さんが首を縦に振りながらそう言った。
「ほら、スポーツ選手にも必ず引退することがあるでしょう?ピアニストも同じ。いつか自分の能力を100%出し切れない時が来るの。それは人それぞれだけど、必ずピアニストをしている限り出くわす。それを佐奈は、越えられる?もしかしたら“終わり”に、あっという間に出くわしてしまうかもしれない。……私みたいに。」
お母さんは話す際ずっとあたしを真直ぐ見ていたのに、最後の一言を言う瞬間だけ、ふとあたしから目を逸した。
だからすぐにわかった。
お母さんが一番言いたいことは、それなんだって。
「だったら…どうして…。」
「でもね、素敵なことばかりじゃないってことも知った。苦労することも、辛いことがあることも。そして、ピアニストには必ず“終わり”が来ることも。」
「“終わり”…?」
「そうよ。」
お母さんが首を縦に振りながらそう言った。
「ほら、スポーツ選手にも必ず引退することがあるでしょう?ピアニストも同じ。いつか自分の能力を100%出し切れない時が来るの。それは人それぞれだけど、必ずピアニストをしている限り出くわす。それを佐奈は、越えられる?もしかしたら“終わり”に、あっという間に出くわしてしまうかもしれない。……私みたいに。」
お母さんは話す際ずっとあたしを真直ぐ見ていたのに、最後の一言を言う瞬間だけ、ふとあたしから目を逸した。
だからすぐにわかった。
お母さんが一番言いたいことは、それなんだって。