光を背負う、僕ら。―第1楽章―
あたしはふと、耳を澄ました。
さっきまで聞こえていた演奏が止まっている。
次の練習の準備でもしてるのかな。
そう思いながら、3階の廊下を歩いて音楽室へと向かう。
音楽室の前に着くと、ドアについている小窓から中の様子がはっきりと見えた。
中では、楽器を移動させる人の姿がある。
あっ、今からパート練習みたい。
あたしは音楽室のドアを開いた。
手前に引くと開くタイプのドアから、キィーという甲高い音が鳴る。
その音に中の人達が反応して、こっちに視線が集まった。
「こんにちはー!」
すかさずあたしの姿を見た後輩達が挨拶をしてきた。
「こんにちは」
丁寧に挨拶を返した後、スクールバックを音楽室の端に置いて、さっそく自分の担当の楽器の準備を始めた。
「やけに遅かったね」
楽器の準備をしていると、流歌が声をかけてきた。
「えっ、そうかな?」
と、軽く受け流すあたし。
だけど流歌は、そんなあたしに言う。
「何かいいことでもあった?」
「えっ!?」
あたしが突然あげた声で、音楽室にいるみんながあたし達の方を見る。