光を背負う、僕ら。―第1楽章―
お母さんはそんなあたしを、無表情で見ていた。



何を思っているのかが表情から掴めないから、なんだかすごく……怖かった。




お母さんはあたしの本心を聞いて、何を思った?



お母さんは今まで、あたしの本心を知らずにピアノを弾くことを禁止させていたかもしれない。



だけど、今なら…。



あたしの本心を告げた今なら、それも変わってくれる……?




あたしは微かな希望と期待を込めて、お母さんが口を開くのを待った。




だけどそんなあたしのちっぽけな願いは、いとも簡単に水の泡となり消え去ってしまう……。





「そんなの……ただの思い込みにすぎないじゃない。」



「えっ…。」




今、なんて…?




思わずあたしは、お母さんの言葉を疑う。



だってお母さんの言葉はあたしが予想していたものとあまりにも違って、あまりにも意外なものだったから……。



お母さんは無表情から少し険しい表情に変わっていて、あたしに言った。





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