光を背負う、僕ら。―第1楽章―
バクバクと心臓が鳴り響く。




本音を誰かに伝えるのって、こんなにも緊張するんだ…。




だけど、何でだろう。



こんなにも緊張していて、お母さんの言葉を聞くのはなんだか怖いような不安な気持ちになるのに、何故だかどこかで安堵している自分がいる。



……ううん、むしろ。



安堵というか、すごくすっきりしている。



今まではいつでも、胸の中に鉛みたいなものが溜まっているみたいな重い感じがして、気持ちがすっきりしていなかった。




だからかな。



目の前に広がる日常生活が、どこか遠くに感じて見えた。



何をしていても、実感が湧かない。



まるで自分は、現実(ここ)にいないみたいで…。




そう感じることは、度々あった。




だけど今は、まるで違う。



モノクロの世界に誰かが絵の具で色を塗ったように、一瞬にして現実に色がついた。



目の前の風景が、光に包まれたみたいに明るくなったの。




……あぁ、そうか。



こんなにも素敵なことはないんだ。



自分の本音を言えるってことは。





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