光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「何事?」とでも言いそうなみんなの視線が、チクチクと体に突き刺さってくる。
「な、なんでもないでーす…」
自分を見てくるみんなに対して苦笑いしながらそう言った後、流歌に小声で話しかけた。
「なんでいいことあったってわかるの?」
流歌もさっきのことを踏まえて気遣ってくれるみたいで、あたしの問いに小声で答える。
「だって、さっきからずっとにこにこ笑ってるもん。 佐奈は何かいいことがあると、いつもそうやって顔に出てるよ」
「そっ…そうなの? 知らなかった…」
「本人は意外と気付かないものだよ」
「そういうものなのかな…」
「そうそう。 それに、佐奈の場合はいいことが何だったのかも分かるよ」
「えっ!?」
「当てるから、耳貸して」
やけにニヤニヤしながら言う流歌に、おずおずと耳を傾けた。
すると流歌は、周りの人に聞こえないように口元を手で覆うようにして、あたしの耳元で囁いた。
「佐藤君と、何かあったでしょう?」
流歌が囁いた瞬間、火がついたようにボッとあたしの顔が熱くなった。