光を背負う、僕ら。―第1楽章―
そう。


わかってるよ。



わかっているからこそ……。




「あたしね、どんなに辛いことがあってもいいよ。だって夢は、そう簡単に叶うものじゃないから。…それにあたし、知りたいの。お母さんが目指した世界を。あたしはただ、そう思ってる。」




再度、お母さんを見つめた。



お母さんは相変わらず驚いたままで、なおかつ悲しい表情のままだった。





「………ごめん。」





お母さんがやっとのことで口にした言葉。



それはあたしの心に、直接届いてくる。




『ごめん』




それは、何に対しての言葉なのだろう。




あれほど決意を固めたはずなのに、あたしは怖がっていた。




もしもこれ以上反対されたら…。




そんな不安があたしの思考を、悪い方へばかり考えるように支配する。





押し寄せる、すべてを飲み込んでしまう不安。



ぶつからない限り壊れることのない、立ち向かうべき壁。




それらをあたしは、どうやって乗り越えるの?




あたしにはその答えが、見つからなかった。





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