光を背負う、僕ら。―第1楽章―
誰に何を言われたって、あたしが決めたこと。



だったらあたしは、最後まで貫いてみせる。




「意見が合わないならあたし達、これからは一緒に頑張れないね。」




特に怒っていたわけじゃない。



だけどつい言葉に力が入って、力んでしまう。



目はキッとお母さんを捉えて、離さなかった。



お母さんも、あたしと同じことを考えていたのだろう。



あたしが何を言っても、表情一つ変えなかった。



むしろ「わかってる」とでも言う様に、一度ゆっくりと瞬きをした。




「あたし、何度お母さんに反対されても意志は変えない。だからあたし、行ってみようと思う。東條学園の、体験入学に。」




さすがにお母さんの瞳は、大きく見開かれた。



だけどすぐに表情を戻して、あたしにとっては意外な一言を言う。




「……わかった。行って自分の目で確かめるのが、一番だもんね。」




今度はあたしが、目を見開く番だった。





だって、予想もしていなかった。



まさか、体験入学に行くことを許してくれるなんて……。





< 334 / 546 >

この作品をシェア

pagetop