光を背負う、僕ら。―第1楽章―
どうしてこんなイメージが浮かんできたのかは、よくわからない。



だけど頭の中に浮かんだそのイメージは、間違いでもなかった。




確かにあたしは今、一人だけ取り残されている状況なのかもしれない。



これぐらいのちょっとしたことでも怖じ気づいてしまう。



それじゃあこれからぶつかるたくさんの試練にも、乗り越えるどころか辿り着くことも出来ないかもしれない。



こんなあたしは、完全に取り残されていくだろう。



人が一歩踏み出すその瞬間も、きっと……。





あたしはぐっと握り拳を作った。




怖じ気づくな、あたし。

負けるな、あたし。



あたしはまだ、スタートラインにさえ立てていない。



これじゃあいつまでも、あたしが目指すあの世界に入ることなんて出来ない。



だったらもう、無理矢理にでも進むしかなかった――。




あたしは片足をゆっくり前へ動かす。



そして、もう一つの足も動かす。



その行動を繰り返して、あたしは先に前を進む二人の背中を追いかけた。





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