光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「それにしても、暑いねー。」



「ほんとほんと。」



「こんな日に出かけなくちゃいけないなんて、ついてないよね。」




何気ない会話を交わしながら、あたし達は最寄りの駅へ向かっていた。



東條学園は、最寄りの駅から三つ進んだ先の駅の付近に位置している。



だから今日は、電車で行くと決めていた。




だけど最寄りといえども、徒歩で向かうと駅も結構遠くに感じられる。



おまけに天候は真夏の快晴。



歩く度に噴き出してくる汗を拭う回数は、結構半端じゃない。




「それよりさ。」




あたしと流歌が暑さにバテ始めた時、汗をかきながらも三人の中で一番元気な明日美が、その一言で話を始めた。




「これ、何に使うのかな?」




明日美はそう言って、手に持っていた荷物を少しだけ持ち上げる。



ちょうどそれを、あたし達に見せるように。




「さぁ…。何に使うのかわからないよね。」



「鈴木先生に持ってきて、って言われたけど、それ以外は説明されなかったもんね。」




あたしはそう言いながら、明日美が持っている荷物とほとんど同じ形をした荷物を、左手から右手に持ち変えた。





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