光を背負う、僕ら。―第1楽章―
もちろん流歌の左手にも、ほぼ同じ形をした荷物が握られている。




「どうして先生、自分の楽器を持ってくるように言ったのかな?体験入学と、どんな関係があるんだろう……。」




流歌の言葉にあたしと明日美は、ただ首をかしげることしか出来なかった。



あたし達が持っている荷物とは、普段部活で使用している楽器。



わけはよくわからないけれど、さっき流歌が言ったように、先生に持ってくるように言われたのだ。



どうして体験入学に楽器が必要なのか。



それは考えても、さっぱりわからなかった。




「なんだか、わけもわからずに楽器を持っていくのって怖くない?」



「あー、それわかる。なんだかすごく、嫌な予感がする。」




そう言いながら、さっきまでとは違う汗をかいていることに気付く。




詳しくはわからない。


だけど、直感的に感じる。


なんだかこの先、すごく嫌なことが起こりそうな気が……。



楽器に触れているからこそ感じる、経験みたいなものがそんな危険を察知していた。




「ほんと…。何が起こるのかな…。」




流歌の言葉に同感しながら、あたし達はただ東條学園に向かうしかなかった……。




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