光を背負う、僕ら。―第１楽章―

「みなさん、本当にご清聴ありがとうございました！」




長い拍手の末、指揮者がもう一度言ったその言葉で締めくくられた。




次は、何があるんだろう…。




そんなことをふと思っていると、突然どこからともなく、スーツを着こなしていて清楚な感じがする女の人が現れた。



ピンっと伸ばした背筋とハイヒールで歩く様は、女性の綺麗さを引き出している。



歳は多分、鈴木先生とさほど変わりがないと思う。



そんな人が指揮台の前に立って一礼をした。




「みなさん、こんにちは。私は本校でピアノを専門に教えている、滝川と申します。」




そこでまた滝川という先生は一礼した。



それにつられるように、あたし達や同じように体験入学に参加している生徒が、座ったまま礼をする。



下がっていた頭が一斉に上がってみんなの視線が滝川先生に集まると、滝川先生は口元を綻ばして穏やかに微笑んだ。



その笑顔を見た瞬間、滝川先生に綺麗なだけじゃなくて可愛いというイメージも湧いた。