光を背負う、僕ら。―第１楽章―
「することは簡単です。あらかじめみなさんにお伝えした通り、今日はそれぞれ自分が一番好きな楽器を持ってきてもらったと思います。今からそれを使ってここにいる在校生のみなさんと一緒に、簡単な演奏をしてもらおうということを考えました。時間の加減で数人の方だけにその役をお願いしたいと思っているのですが、誰か一緒に演奏してもらえる方はいませんか？」




滝川先生の言葉で、部屋の中がしーんとなった。



誰かが手を上げるわけでもなく、ただ沈黙が流れるだけ。



この場で進んで手を上げてまでして演奏しようと思う人は、誰もいなかった。



あたしも、みんなも、自分がその役になりたくない一心でうつむいた。



誰も手が上げないこの状況で滝川先生と目が合えば、指名される……。



誰もがそう考えて、ひたすら黙り続ける。




「…みなさん、いきなりこんなことを言われても無理ですよね。でも私やここにいる在校生達は、音楽を通じながらみなさんと楽しみたいととても思っています。」




静かな部屋の中で、滝川先生は穏やかに、だけど熱意のこもった言葉で語り始めた。





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