光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「音楽は時に、言葉の代わりをしてくれます。話すことが苦手な人同士が集まった時でも、一緒に楽器で演奏することによって親しみが湧いたり、話しかける勇気を持ったりも出来ます。それに楽しい音楽を聴けば笑顔になったり、クラシックを聴いたりしてリラックスも出来ます。音楽は常に人々の身近にありました。人々はそんな音楽を通じて、心を通じ合わせることが出来るのです。」




そこで滝川先生は、一呼吸置いた。



先生が話していた時も、その瞬間も、誰もが滝川先生を真剣に見つめていた。



そして誰もが滝川先生の言葉を、確かに自分の心に刻んでいた。




「私達はそんな音楽を、実際に演奏することでみなさんによりよく知ってもらいたいです。……誰か、一緒に演奏してくれる方はいませんか?」




滝川先生は真剣な表情のまま、ここにいる人達に再度問い掛けた。



だけどやっぱり、手を上げる人はいなかった。




先生の言葉に、誰もが何かを感じていたはず。



だけどやっぱり一歩を踏み出す勇気はなかなか持てない。



あたし自身が、そうだった。





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