光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「…はい。あたし、演奏やりたいです。」




スッと真直ぐ手を伸ばし、確かにはっきりとそう言った人がいる。



誰もがその人物の声に反応して、視線をその人物に集中させる。



そんな中で同じように視線を向ける滝川先生は、最初は驚いているみたいだった。



だけど状況が掴めてきたのかして、ふっと頬を綻ばせて言った。




「一緒に、演奏してもらえるの?」



「――はい。」




上げていた手を静かに降ろしながら彼女――小春ちゃんは確かにそう言った。



力強く、確かな意志を抱いた揺るぎない瞳。



きりっとしたシャープな横顔。



それらすべてが、小春ちゃんの勇気ともいえる決意を表していた。



向かい合う小春ちゃんと滝川先生の周りでは、ざわめきが絶えない。



そんなざわめきは、他の中学校の生徒達よりも、あたし達の中学校の生徒一同のほうが酷かった。




「小春ちゃん、すごいね。」



「うん。すごいよー。まさか、自分から手を上げちゃうなんて…。」





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