光を背負う、僕ら。―第1楽章―
♪♪♪~♪~♪♪~♪
練習を始めてから、早くも1時間弱経過していた。
あたし達以外のパート練習も各教室で同じようにしているから、きっと学校内は1時間ほど音楽で満たされていたことだろう。
ワァー、ワァー……
演奏と演奏の合間の一瞬、人の声が鮮明に聞こえてきた。
どうやらそれは、開けている教室の窓から入ってきたらしい。
あたしは、そっと耳を澄ましてみる。
「おーい、こっちこっち!!」
耳を澄ました直後、あの人の声が聞こえてきた。
窓際に座って練習をしていたあたしは、演奏の合間に窓から外を覗いた。
3階から見える大きな運動場の中で動く小さな人達の中から、目を必至に凝らしながらあの人の姿を探す。
……あっ!
その瞬間、ボールを蹴りながら走る一人の男子に目を奪われる。
ボールを蹴って走る男子は、伸一君。
あたしはいつの間にか、そんな伸一君の姿に釘付けになって見ていたんだ。
しばらく様子を見ていると、サッカー部が試合をしていることがわかった。