光を背負う、僕ら。―第１楽章―

「なんだ。入試のためのポイント稼ぎか。」



「そういうの、ちょっとうざいよね～。」




あたし達の会話を聞いたと思われる人達が、さっきからそんなことをぽつりと呟いている。



そういった心無い中傷は、ざわめきの中に混ざってあたし達にまで聞こえてきた。



嫌でも聞こえてくる皮肉な言葉は、言われている本人じゃなくても心境が複雑になってくる。



あたしでもそんな風になる言葉を、小春ちゃんはどんな心境で聞いているんだろう…。



中傷している人達に直接何も言えないあたしは、ただそんな風に小春ちゃんを心配しながら、小春ちゃんの様子を見守っていた。




「さあ、座ってください。」



「はい。」




いろんな人達がそれぞれ違った気持ちで小春ちゃんを見つめる中、小春ちゃんは滝川先生に案内されたピアノのもとへ行き、静かにイスに腰を降ろした。



小春ちゃんは部屋の西側で堂々と存在を主張しているグランドピアノのもとへと案内されていた。



中学校の新しいピアノよりは、だいぶ年期が経っている感じがするピアノ。