光を背負う、僕ら。―第1楽章―

踏み出す天才

パチパチパチパチパチパチ――…




短いようで、意外と長い演奏が終わりを迎えるとき。



それは滝川先生が指揮棒を振り切るのと同時に、小春ちゃんがしなやかに指を鍵盤から離した瞬間だった。



同時に、部屋は拍手喝采で溢れかえる。



中にはコンサートなんかで見られるように、席を立って熱い拍手を送る人までいる。



部屋の中は、感動の嵐と熱い活気がみんなを包み込んでいた。



拍手が鳴りやまない中で滝川先生は指揮台から降りる。



それを合図に、座っていた在校生がすくっと立ち上がった。



演奏を終えてホッと一息ついていた小春ちゃんも、周りの状況に応じるように立ち上がる。




「ご清聴ありがとうございました。」




滝川先生は拍手に答えるように、丁寧に深々とお辞儀をする。



それに続いて在校生と小春ちゃんもお辞儀をした。



お辞儀をするタイミングを知らない小春ちゃんは、うろたえるようにお辞儀をしていた。



その姿は、ピアノを弾いていた時とはまるで別人みたいだった。



今の小春ちゃんはさっきから見せる表情が幼く、中学生という雰囲気をもろに感じる。



だけどピアノを弾いている時は、それが全く違ったんだ。





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