光を背負う、僕ら。―第１楽章―
小春ちゃんはいつの間にか、たくさんの人に囲まれている。



滝川先生を始めとする東條学園の先生達、演奏を共にしていた在校生、体験入学に参加している人。



同じ学校の人までもが、小春ちゃんを取り囲んでいた。



あたしも明日美と流歌と一緒に、人だかりの後ろに来ていた。



でもここからだと、小春ちゃんの姿がよく見えない。



だけど、人と人との隙間からなんとか見えた小春ちゃんが、戸惑いと照れを隠しきれない表情をしていることはわかった。



あたしは人の隙間を覗き込んだり、背伸びをして必死に小春ちゃんの姿を見ようと頑張る。



あたしの両隣りでは、明日美がぴょんぴょんとジャンプして、流歌がつま先立ちをしていた。



そんな中で、滝川先生が一歩歩んで小春ちゃんに近付いた。




「素晴らしい演奏だったわ。協力してくれて本当にありがとう！」




滝川先生がスッと手を差し出す。




「こちらこそ、ありがとうございました。みなさんと一緒に演奏が出来て、いい体験になりました。」




小春ちゃん流れるように自然な動きで、滝川先生と熱い握手を交わした。





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