光を背負う、僕ら。―第1楽章―
自分の席へと戻る小春ちゃんに続いて、周りに集まっていた人達も自分の席へ向かう。



部屋の中に出来ていた人だかりは、あっという間にバラけてその姿を消した。



立っていた人達が全員席に着いたことを確認すると、滝川先生は座っているあたし達の前へ来て言った。




「戸沢さんの協力のおかけで、本当にいい演奏が出来ました。みなさん、もう一度戸沢さんに拍手をお願いします。」




パチパチパチパチパチパチ……




「戸沢さん、本当にありがとう。」




座っていた小春ちゃんは、一度立ち上がってピンと背筋を伸ばす。



そして滝川先生や拍手をするすべての人達に、深々と頭を下げた。




小春ちゃんは、何もかもが完璧だった。



止まることなく進み続ける勇気。


生まれ持った天才の才能。


そしてそれらを持つべき者として、完璧な対応の仕方。



他の人が持っていないものを、小春ちゃんはたくさん持ってる。



こんな小春ちゃんこそ、本物の“天才”と言えるのかもしれない。





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