光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「……先輩。 佐奈先輩!!」
あっ…。
あたしを呼ぶ声でやっと我に返った。
運動場から視線を外して教室内に視線を移すと、あたしを呼び掛けている後輩の姿がある。
「あの~、先輩…」
「あっ、ごめん! ちょっとぼーっとしてたから聞こえなかった。 …で、何だっけ?」
聞き逃してしまったことを聞くために、すごく申し訳ない気持ちで後輩に話しかけた。
駄目だよ、あたし。
パートリーダーなんだから、しっかりしなくちゃ。
「そろそろ、合わせて練習する時間じゃありませんか?」
後輩に言われて教室の時計を見上げる。
「あっ、本当だ」
時計を見ると、針はちょうど、部員が全員揃って練習をする時間を指していた。
「じゃあみんな、移動する準備してね」
「はい!!」
後輩達は返事をして、早速準備に取り掛かる。
あたしも急いで準備に取り掛かった。
よしっ、終わったっと。
…あっ、窓も閉めないと!!
素早く片付けを済ませたあたしは、開けている窓を閉めようと窓辺に寄り添った。
スー…トンッ
教室の端から、開けていた窓を一つ一つ閉めていく。