光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「……さて。せっかくの機会ですので、もう一人ほど一緒に演奏をしてくださる方はいませんか?」
小春ちゃんの演奏が終わってもなお、いっこうにおさまらない興奮。
そんな興奮の中で飛び出した滝川先生の言葉は、その場にいる中学生達みんなを驚かした。
思わず動きが固まって驚いていた人は皆、同じことを思っていただろう。
小春ちゃんが演奏したのだから、もう演奏はしないだろう、と。
ましてやさっき見事な演奏をしたのは、“戸沢香澄”というピアニストの娘。
そんな中学生に演奏してもらったのだから、先生だってもう満足しているはず。
なのに滝川先生は、さらに誰かに演奏してもらうことを望んでいる。
みんなが予測していたことを見事に覆した滝川先生を、誰もが信じられないといった感じで見つめる。
いつしかあの興奮は忘れ去れ、変わりに沈黙があたし達を包み込んでいた。
「せっかくこうやって、音楽を心から好む人達が集まったのです。この機会に、誰か一緒に演奏をしてみませんか?」
真剣な滝川先生の問い掛けに答える者はいない。
みんなもあたしも、出来るだけ滝川先生と目を合わさないようにするためにうつむいていた。
小春ちゃんの演奏が終わってもなお、いっこうにおさまらない興奮。
そんな興奮の中で飛び出した滝川先生の言葉は、その場にいる中学生達みんなを驚かした。
思わず動きが固まって驚いていた人は皆、同じことを思っていただろう。
小春ちゃんが演奏したのだから、もう演奏はしないだろう、と。
ましてやさっき見事な演奏をしたのは、“戸沢香澄”というピアニストの娘。
そんな中学生に演奏してもらったのだから、先生だってもう満足しているはず。
なのに滝川先生は、さらに誰かに演奏してもらうことを望んでいる。
みんなが予測していたことを見事に覆した滝川先生を、誰もが信じられないといった感じで見つめる。
いつしかあの興奮は忘れ去れ、変わりに沈黙があたし達を包み込んでいた。
「せっかくこうやって、音楽を心から好む人達が集まったのです。この機会に、誰か一緒に演奏をしてみませんか?」
真剣な滝川先生の問い掛けに答える者はいない。
みんなもあたしも、出来るだけ滝川先生と目を合わさないようにするためにうつむいていた。