光を背負う、僕ら。―第１楽章―
「えっ？」と言うつもりで口を開いたはずだった。



だけどあまりにも突然で、あまりにも意外だった明日美の言葉のせいで、あたしは声を出すという行動を忘れてしまっていた。



おかけで多分、口が半開きというまぬけな顔をしていたと思う。




「演奏だよ、演奏。佐奈は小春ちゃんみたいに、演奏しないの？」




明日美はあたしが言いたかったことがわかったらしい。



その証拠に、明日美は勝手に話を進めている。



だけどあたしは明日美がしている会話に、なかなか頭でついていくことが出来ていなかった。




「ちょっ！ちょっと待ってよ！どうしてあたしが演奏するの？」




思わず声が大きくなってしまい、ハッとなって周りの様子を伺う。



見渡した周りの様子は相変わらずで、所々であたし達みたいにボソボソと話している人がいるぐらいだった。



幸いなことにあたしが座っている席は前から三列目で、滝川先生からはあたし達が喋っている様子は見えていないらしい。



滝川先生は今もなお、ここにいるみんなに同じことを問い掛けていた。





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