光を背負う、僕ら。―第1楽章―
明日美から視線を逸らしてもなお、明日美の視線を横から感じられた。



盗み見るように明日美の様子を伺うと、やっぱり明日美はあたしをじっと見つめていた。



悲しげに、心配そうにあたしを見つめる明日美の瞳を見ると、胸がチクンと痛くなる。



こんなにもあたしのことを気にかけてくれる友達に、何も話せない自分。



そんな自分がなんだか腹立たしくもあり、胸は罪悪感でいっぱいになる。




ごめんね。

本当にごめんね。




何度もそう、心の中で謝った。


あたしが今、明日美や流歌に出来ることは、こうやって謝ることだけだったから。





「…佐奈ちゃん!」




明日美と少し気まずい雰囲気になってしまい、どうしようかと思ったとき。



あたしはまた誰かに、小声で呼ばれた。



一瞬、明日美に続いて流歌が呼んだのかと思った。



けどよくよく考えてみると、さっきの声は流歌の声ではない。




一体、誰があたしを呼んだの?




声の主を把握出来なかったあたしは、首をキョロキョロと動かして声の主を探した。




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