光を背負う、僕ら。―第1楽章―
あたしの顔を一心に見つめて悲しい表情を浮かべる明日美が、視界の端でちらついた。



さっきのあたしの言葉を聞いて、明日美はまたあたしのことを気にかけているらしい。



ふと小春ちゃんを見ると、明日美と同じ表情をしていた。



――だけど。


それだけで終わらないのが小春ちゃんだ。




「ピアノを習ってるとか習ってないとか、全然関係ないと思うよ?何回も言うけど、佐奈ちゃんは本当にピアノが上手いから。」




小春ちゃんは否定し続けるあたしを押し退ける勢いで言った。



真直ぐあたしを見たまま、退こうとはしない。



あまりにもストレートで率直な小春ちゃんに、あたしは少し勢いで負け始めていた。



ただでさえ不安定でなかなか行き場が定まらない心が、さらにぐらつく。



小春ちゃんは追い討ちをかけるように、さらに捲し立てた。




「佐奈ちゃんは、十分ピアノの才能があるよ。だから、この場で演奏することが場違いだなんてことない。何もためらうことなんてないよ?」




心の奥底から、熱い何かが込み上げてきた――。





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