光を背負う、僕ら。―第１楽章―

「あたし、ピアノ弾いてみるよ。」




二人に告げるわけではなく、自分に強く言い聞かせるためにハッキリとそう言う。



そうでもしないと、体が動かなくなってしまうような気がしたんだ。



手なんて、ホラ。


さっきからずっと小刻みに震えている。



震える手を、震えていてもう片方の頼りない手で押さえながら、深く深呼吸をした。




……頑張れ、あたし。



今頑張らなかったら、いつ頑張るの。



これからもっとたくさんの壁にぶち当たるのだから、こんなところでいつまでも足踏みしていられないでしょう……？




弱気なあたしを懸命に説得して、徐々に心を落ち着かせる。



明日美はあたしの言葉に驚いたままで状況が掴めないらしく、ぽかんとした表情であたしを見ている。



だけどその表情の裏側では、あたしのことを心配してくれていることがよくわかった。



一方で小春ちゃんは、何を言うわけでもなく、ただ真剣な表情でじっとあたしを見ていた。



小春ちゃんが何を考えているのかがわからないことに一瞬違和感を感じた。



だけど今は、そのことについて深く考えている余裕なんてない。