光を背負う、僕ら。―第１楽章―
声を掛けてきた二人に顔を向けた。



するとあたしを見上げる二人の表情が、さらに曇っていく。




……あぁ、今。


あたしはとても泣きそうな顔をしているのかもしれない。




二人の表情から、見えないはずのそんな自分の表情が窺えた気がする。



だけど、そんなあたしの表情は表に出ていてはいけない。



顔に不安なあたしの気持ちを出してしまえば、周りの声に押し潰されてしまうから。



だから、奥歯を噛み締めて踏ん張る。



……心が、泣き出してしまわないように。




「…さぁ。こっちに来てください。」




なかなか動こうとしないあたしを促すような滝川先生の声にハッとして、あたしは初めて一歩を踏み出した。



そして始めの一歩をきっかけに動き出したあたしの足は、次々に動いて滝川先生のもとへと歩み進んでいく。



明日美と流歌の、見守る視線。


他の中学校の人達の、好奇の視線。


小春ちゃんの、謎めいた視線。



あたしはたくさんの視線を浴びながら、真直ぐ歩いていった。





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