光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「さっきの曲?あれはね、“月の光”っていう曲なのよ。」
「つきの……ひかり?」
「えぇ、そう。“月の光”っていうの。」
お母さんはそう言って、“月の光”の序盤をもう一度弾いて聞かせてくれた。
だけど漢字など全く知らないあたしは、お母さんが教えてくれた曲名が、どんな字を書くのか全くわからない。
だからその代わりに拙い言葉で何度も「つきのひかり…」と繰り返し呟いて、どんな意味なのだろう、と考えていた。
そんな幼い仕草を見せるあたしを、お母さんは愛しそうに見つめていた。
「ねぇねぇ、おかあさん。」
同じ言葉を繰り返し呟いたところで、漢字がわかるわけでもない。
そんなわけで結局意味のない行動をしたあたしだけど、ふと感じた『何か』があった。
でもその『何か』は、小さな頭を精一杯動かして考えてみてもわからなくて、お母さんに尋ねることにした。
「つきのひかりっていう曲、なんだか不思議な感じがするね。」
「不思議な感じ?」
まだ本当に小さい子供が、突然何を言い出すのだろう。
いかにもそう言っているような表情をしているお母さんに、あたしは子供の言葉で必死に説明した。
「つきの……ひかり?」
「えぇ、そう。“月の光”っていうの。」
お母さんはそう言って、“月の光”の序盤をもう一度弾いて聞かせてくれた。
だけど漢字など全く知らないあたしは、お母さんが教えてくれた曲名が、どんな字を書くのか全くわからない。
だからその代わりに拙い言葉で何度も「つきのひかり…」と繰り返し呟いて、どんな意味なのだろう、と考えていた。
そんな幼い仕草を見せるあたしを、お母さんは愛しそうに見つめていた。
「ねぇねぇ、おかあさん。」
同じ言葉を繰り返し呟いたところで、漢字がわかるわけでもない。
そんなわけで結局意味のない行動をしたあたしだけど、ふと感じた『何か』があった。
でもその『何か』は、小さな頭を精一杯動かして考えてみてもわからなくて、お母さんに尋ねることにした。
「つきのひかりっていう曲、なんだか不思議な感じがするね。」
「不思議な感じ?」
まだ本当に小さい子供が、突然何を言い出すのだろう。
いかにもそう言っているような表情をしているお母さんに、あたしは子供の言葉で必死に説明した。