光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「なんかね、不思議なの。この曲を聞いてるとね、この辺りがポカポカするの。」




あたしは胸の辺りを小さな手で撫でながら説明を続ける。




「ポカポカして、温かくてね。優しい感じがするよ。…あとね、なんだか懐かしい感じがする!」




『何か』に大してなかなか上手く説明が出来なかったあたし。



だけど、やっとその『何か』に対するぴったりな言葉を見つけた。




……そうだ。

“懐かしい”――。



その言葉が、最もぴったり当てはまるんだ。



わからなかった感情の名前をやっと見つけることが出来て、あたしの目はきっと、キラキラと輝いていたと思う。




「……そう。懐かしいの。」




お母さんはそんなあたしの頭を優しく撫でながら、あたしに話してくれたんだ。




「佐奈はきっと……覚えているのね。この曲を。」



「覚えてるってー?」




柔らかいお母さんの手で撫でられることに、あたしは安心感を感じていた。



そしてそんな心地良さに埋もれながら、お母さんの言葉に耳を傾けていた。





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