光を背負う、僕ら。―第1楽章―
…ううん。
目が合ったってことは向こうもこっちを見たってこと。
だから、気付かないなんてことはないはず。
…つまり。
伸一君はあたしと目が合っても何も感じないってこと?
気がつけば、気分がどんどん沈んでいた。
そっか、そうだよね…。
あたしはスピードを緩めていた手で、一気に窓を閉めた。
スー……トンッ!
窓はさっきより少し大きな音をたてて閉まった。
…そうだよね。
伸一君にとってあたしと目が合うってことは、気にならないこと。
それだけ、どうでもいいほど些細なことなんだ…。
気が付くとあたしは、全身から暗いオーラを漂わしていた。
だけどあたしは、あえて笑顔を振る舞いながら後輩達に声をかけた。
「じゃあ、音楽室に戻ろっか」
がむしゃらに笑顔を振りまいて自分の荷物を持つ。
後輩達が荷物を持つのを確認して、先頭を切って教室を出た。
あたしの後に続いて、ぞろぞろと教室を出る後輩達。
「あっ、鍵閉めておくから先に行ってていいよ」
「わかりました」
返事をした後輩達は、二年生の子達を先頭に、音楽室に向かって歩いていった。