光を背負う、僕ら。―第1楽章―
……はぁ。
後輩達の背中が遠くなるのを見たあと。
声には出さず、心の中で深いため息をついた。
ガチャガチャ……ガチャン――
静寂な廊下に響く鍵の音が、やけに虚しい。
あたしは無言のまま、音楽室に向かって歩き出した。
他の人から見れば、ただ歩いているようにしか見えないだろう。
だけど、あたしの心は暗いオーラで満たされていて、複雑な気持ちがぐるぐると駆け巡っている。
あたし…馬鹿だったのかな。
たまたま、今日の放課後。
少しだったけど、久しぶりに伸一君と喋ることが出来た。
たったそれだけのことなのに、浮かれすぎていたんだね。
そうだよ…。
分かってたことだもん。
所詮この恋、
この想い。
実ることはないって、分かっていたよ。
だって“あの頃”以来、伸一君はあたしとは世界が違うほど遠い存在になってしまったのだから。
なのに。
どうしてこんなにも、胸が苦しくなるのだろう――。
溢れそうになるたくさんの気持ちを抑え、遅れをとらないようにと早足で音楽室に向かった。
その結果。
先に行っていた後輩達が音楽室に着く頃、あたしも音楽室に着くことができた。