光を背負う、僕ら。―第1楽章―
確かに言われて見れば、この人は学園長っぽいオーラを醸し出している気がする。



それにしても、どうして学園長がここにいるのだろう。



確か全体の説明会の時、学園長は出張に行っているからということで、代わりの人が挨拶をしていたはずだけど……。




いくつもの疑問がふつふつと浮かび上がる中、学園長はみんなの気持ちを悟ったように喋り出した。




「実は出張先での仕事が思ったよりも早く終わってね。せっかく体験入学を開いているのだから、予定より早く帰ってきたんだよ。そうしたらちょうど演奏する音が聞こえてきてね。ふらりとここにやって来たと言うわけだよ。」



「そうだったんですか…。それにしても学園長、部屋の隅で聴いてらしたんですか?言ってくだされば、ちゃんと席も用意しましたのに。」



「ははっ。滝川先生失礼だな。私は必ずしもイスが必要な年齢ではないよ。これでもまだ、50代なんだから!」




はははっ、と豪快に笑う学園長。



その姿からは先ほど感じた凛々しい学園長のオーラは感じられなかった。



学園長に対してこんなこと言ったら失礼かもしれないけれど、朗らかで陽気な感じのおじさんだな……。





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