光を背負う、僕ら。―第1楽章―
何かが頭の中で引っ掛かる。



だけど肝心なことは何一つ思い出せない。



何だというのだろう…。



思い出せないことが、なんだかすごくもどかしい。





あたしが必死に記憶を探っていると、学園長はくるりと向きを変えた。



学園長が視線を向けた先は、あたしと同じ中学校の子達がいるところ。




「協奏曲を弾いていたのは……君だね?」



「はい、そうです。」




きっぱりと返事をして集団の中から出てきたのは、もちろん小春ちゃんだった。



学園長は小春ちゃんを集団の中から呼び出すと、まだピアノのそばにいたあたしまで呼び出した。



そして呼び出されたあたしと小春ちゃんは、部屋の中心で学園長と向き合うように並んで立たされる。




なっ…何が始まるの。



今自分がいったいどんな状況になっているのかが、全くわからなかった。



ただ学園長に促されるままに動いているだけ。



不安の瞳で隣りに立つ小春ちゃんを見ると、平然としているように見えた。



だけど目が合った表情はあたしと同じで、この状況を何一つ理解出来ていないみたいだった。





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