光を背負う、僕ら。―第1楽章―
あたしだけが何もわかっていないのではなくて、小春ちゃんも何もわかっていない。



同じ状況に立たされている人物がいたことに、少しだけホッとした。



だけどホッとしていられるのはここまで。



だって今から学園長に何をされるかなんて、全く予想がつかないのだから。




そんな風に少し身構えた時、学園長の二本の腕が同時に動いた。



そして伸ばした腕はあたしと小春ちゃんに向かってくる。



その動作がやけにゆっくりで、なんだか不気味で怖くなる。




なっ、何なの?




自分に向かって伸びてくる腕に対してさらに身構えて、体を硬直させたとき。



学園長はあたしと小春ちゃんの肩にポンッと手を乗せた。




「いや~、君達!さっきも言ったけど、本当に素晴らしい演奏だったよ!」



「………。」




さっきまでの動作とは裏腹な学園長ののんきな声に拍子抜けした。



おかけで驚きの声さえ出ない。




さっきのやけに不気味な腕の動きは、一体何だったのだろう…。



あれのせいで、変に気を使っちゃったよ。





< 424 / 546 >

この作品をシェア

pagetop