光を背負う、僕ら。―第1楽章―



「学園長……どうかなさいましたか?」



さすがに周りの人も、この学園長の不思議な様子に違和感を感じたらしい。



滝川先生は学園長の顔を覗き込みながら声をかける。



すると学園長は我に返ったようにハッと目を見開き、滝川先生に「いや、ちょっと…」と対応する。



…かと思いきや。


学園長はすぐに思い詰めた表情であたしに目線を戻した。



そのことであたしはもう一度、学園長と向き直ることになる。



学園長はただ、未だ思い詰めた表情であたしの瞳をじっと見つめる。



その視線があまりにも真剣だったせいだろうか。



……少しだけ、不安で背中が震えた。



あたしは今の状況が分かっていないはずなのに、いつの間にか。



自分に迫り来るとんでもない大きな恐怖に、知らず知らずのうちに怯えていたのかもしれない……。



< 433 / 546 >

この作品をシェア

pagetop