光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「学園長……どうかなさいましたか?」
さすがに周りの人も、この学園長の不思議な様子に違和感を感じたらしい。
滝川先生は学園長の顔を覗き込みながら声をかける。
すると学園長は我に返ったようにハッと目を見開き、滝川先生に「いや、ちょっと…」と対応する。
…かと思いきや。
学園長はすぐに思い詰めた表情であたしに目線を戻した。
そのことであたしはもう一度、学園長と向き直ることになる。
学園長はただ、未だ思い詰めた表情であたしの瞳をじっと見つめる。
その視線があまりにも真剣だったせいだろうか。
……少しだけ、不安で背中が震えた。
あたしは今の状況が分かっていないはずなのに、いつの間にか。
自分に迫り来るとんでもない大きな恐怖に、知らず知らずのうちに怯えていたのかもしれない……。