光を背負う、僕ら。―第1楽章―
学園長は周りの人から浴びせられる視線などには全く気も向けず、ただあたしだけを見つめながらやっと口を開いた。
「…君、いや――麻木佐奈さん」
「……はい」
あたしは学園長の気迫に負けないように、じっと見つめ返した。
そして、学園長の次の言葉を待つ。
「……少し、変わった質問をしてもいいだろうか?」
「あたしが答えられることなら、お答えします」
“変わった質問”という単語に、違和感を感じなかったわけじゃない。
だけどこの時は、大して気にすることなく学園長の言葉を承諾してしまった。
そんな中で、隣りでずっと一緒に立っている小春ちゃんや周りの人達は、何一つ言葉を交わさなかった。
言葉など、交わせる雰囲気ではない。
だからあたしと学園長以外の人物は、ただ見守っていることしか出来ない。
あたしと学園長を取り巻く、この異様な雰囲気の行く末を。