光を背負う、僕ら。―第1楽章―
この曲でのあたしのパートは、思ったよりも簡単だった。
練習もだいぶしたから、今ではほぼ完璧に演奏できる。
けど、まだ入部したばかりの一年生には少し難しいみたいだ。
あたしはチラッと、傍で懸命にフルートを吹く一年生達を見た。
あたしも入部した頃は、こんな感じだったな…。
練習してもなかなか上手く吹けなくて、物凄く苦労した。
だけど苦労した分、人一倍努力もした。
毎日頑張って練習していた頃は、今ではなんだか遠い昔みたい…。
そう思った後、先生の指揮に集中して演奏を続けていった。
……~~~♪~♪~♪♪♪♪♪――
ほんの数分たらずの演奏が終わった。
キーンコーンカーンコーン…
演奏が終わった直後、部活の時間が終了したことを知らせるチャイムが校内や運動場に響き渡った。
「…もうこんな時間だったのね。 ではみんな、片付けてください」
鈴木先生は少し疲れた様子で小さく深呼吸をすると、指揮台から降りた。
「はい!!」
「…はい!!」
部員はそれぞれ返事をすると、自分の周りを片付け始めた。
あたしも演奏をやりこなした満足感に浸りながら、フルートを片付けていた。
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