光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「…そうか」
学園長はあたしの言葉に納得したのかして、目線をあたしから床へと移す。
…良かった。
無理矢理言い切ったけど、信じてくれたみたい。
…しかし。
心の中で、一人安心するのも束の間。
「…これを見ても、君は本当のことを話してはくれないか?」
学園長がそう言いながら、スーツの内ポケットから何かを取り出した。
そしてその何かを、あたしの前に差し出す。
「…こ…れは…」
目の前に現われた物を見た瞬間、あたしは驚愕と動揺のあまり上手く声を出すことが出来なかった。
だって、目の前に現われたのが写真だったから。
――ピアノの前で、幼いあたしと両親が写っている写真。
それは全く見覚えもなければ、撮った記憶さえない写真だった。
写真の中で、両親に囲まれながら笑顔を浮かべるあたしは、多分3歳ぐらいだと思う。
あたしの左隣りに写るお父さんはスーツ姿で、きっちりとした格好をしていた。
あたしと手を繋いでいるお母さんは、淡い水色のドレスを身に纏っている。
そしてあたし達の背後には……ピアノがある。
これって、まさか…。